【地方創生】白井屋ホテル(前橋市)の挑戦

2021.02.07

「正直なお話、全てを取り壊して、全く新しい施設に建て替えたほうが、コストが割安になります」。そう語ってくださった、白井屋ホテル（群馬県・前橋市 2020年12月12日開業）CEO 矢村功氏の言葉が印象的でした。

４層吹き抜けの、柱梁がむき出しで、光が直接入ってくる圧倒的に開放的な空間。そのモダンなアート空間では、掃き出しになった複数のコンクリートが、歴史の連続性を証明してくれてます。「生まれ変わり」ではなく、「蘇り」という表現の方が適切なのかもしれません。

（緑が充実しているホテルのロビー）

コクリートの壁に描かれた文字。これはアートではなく、現実を曝け出した結果。その、本来は見えない場所、見せてはいけない場所を、敢えて曝け出す発想が斬新。白井屋のDNAを内に秘めるのではなく、敢えて旅人の視線に入れる大胆さ。

創業300年の老舗旅館として誕生した「白井屋」。1970年の建替で「ホテル」として新たな歴史を刻み、その時に誕生した4層剥き出しの柱と梁が、2020年12月開業のSHROIYA HOTELにも引き継がれていて、その生れた時の「ありのままの姿」を曝け出しています。かつて日本近代化の先駆けとなった前橋。今「めぶく。」まちとして大きな変貌を遂げようとしている前橋。そして、筆者の生まれ故郷でもある前橋。その前橋が、もう一度輝くための象徴としての「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」

このアートの意味するところは？最初、筆者も気づきませんでした。答えは後ほどお伝え致します。

THE PLACE OF ENCOUNTER

SHIROIYA HOTELは、人間の想像力と出逢う場所。アート、食、歴史に囲まれた空間。そして、地方都市である前橋市がグローバルに発信する機会を得た、実験の場。「全体」のデザインと設計を手がけたのは建築家藤本壮介氏。上から下を眺めると、結構怖い。ただし、無駄に贅沢なこの絶景を見るためだけに、白井屋ホテルに宿泊しても後悔することは無いでしょう。映画の撮影で使用したら、映える事間違いなし！

（肉眼で見ると、構造の複雑さにさらに驚くはずです）

世界のアートが前橋に集結

それぞれの「部分」を担当したアーティストも作品も必見。前橋市を表現したアート。心憎い。「鶴舞う形の群馬県」は有名なのに、前橋市の地形は盲点。。。隠れミッキーならぬ、隠れ前橋市からの内覧。いや、むしろ、隠れてはいないか。。。

世界各国のアーティストが手掛けたスペシャルルーム

SPECIAL ROOMS①(JASPER MORRISON ROOM/ジャスパー・モリソン　ルーム）

SPECIAL ROOMS②MICHELE DE LUCCHI ROOM(ミケーレ・デ・ルッキ　ルーム）

SPECIAL ROOMS③LEANDRO ERLICH ROOM(レアンドロ・エルリッヒ　ルーム）

SPECIAL ROOMS④SOU FUJIMOTO ROOM(藤本壮介ルーム）

Copywright@白井屋ホテル

ART & DESIGN

LAWRENCE WEINER(ローレンス・ウィナー）

LIAM GILLICK（リアム・ギリック）

ガリラヤ湖、ゴラン（杉本博）

TSTSUO MIYAJIMA（宮島達夫）

その他、RYAN GANDER（ライアン・ガンダー）, 円環一世界「生成するもの！」（白川昌生）,絵画のための絵画020（武田鉄平）などのアートを楽しむ事も出来ます。「宿泊施設付きの美術館」とお伝えしたほうが、白井屋ホテルの魅力がストレートに伝わるかもしれません。

上州を食べる: the RESTAURANT（片岡ヒロシェフ）

OKIRIKOMI：上州（群馬県）の郷土料理おきりこみをフレンチ流にアレンジ。

農園より　前橋市の良農場で元気に育った地場野菜14種類をレタスで包んだ絶品

牛大豆：群馬県昭和村で育った赤城牛のロースト。

遊び心

群馬県民が誇るアート集が全部屋にあります。その名も、「上毛かるた」

動画の中にもこっそり「上毛かるた」

「鶴舞う形の群馬県」からの「群馬ちゃん」

地方創生の可能性。前橋が「めぶく。」その先

余談になりますが、世界の中心で愛を叫んだの主人公、松本朔太郎の名前の由来は詩人の萩原朔太郎。前橋が生んだ詩人。もしかしたら、前橋が世界の中心になる日も近い？少なくとも、「Where good things grow」（世界に誇れる良いものが育つまち）として始動済み。「Where good things grow」を前橋市出身のコピーライター糸井重里氏が解釈すると、それは「めぶく。」になる。

収穫期を考える前に、先ずは「芽吹き」の土壌を提供した白井屋ホテル。

実は「採算度外視」で始めるビジネス、「思い入れ」や「好き」が高じて始めたビジネスの方が長続きして、最終的には金銭的にも儲かるのではないか？と思ようになってきた昨今。ただ単に、収穫期が30年先なのか、100年先なのか、あるいはもっとかかるのか？つまり、不確定要素が多いから、具体的なアクションが出来ないだけなのかなと。その不確定要素を超えるだけの情熱と先見性に満ち溢れた白井屋ホテル。今後の更なる躍進に期待です。

驚き満載のアートデスティネーション「白井屋ホテル/SHIROIYA HOTEL」。是非ともその五感を通じて、「めぶく。」前橋の象徴を体感してみては如何でしょうか？

世界中の芸術家や作家にこのホテルに滞在してもらいたい。今、流行りの「ワーケーション」の滞在先としても抜群。長期滞在をしながら、3日、或いは1週間ごとに泊まる部屋を変えて、常に気分をリフレッシュしてみる！そんな、贅沢な滞在も可能になるかもしれない、本当に魅力的なホテルが地方都市に誕生しました。地方創生のヒントがたくさん隠されていると確信しています。

主なプロジェクトメンバー

建築・内装設計：藤本壮介
客室デザイン：ミケーレ・デ・ルッキ、ジャスパー・モリソン、レアンドロ・エルリッヒ、藤本壮介
照明デザイン：東海林弘靖（ライトデザイン）
テキスタイル：安東陽子
備品コーディネーション：長山智美
サイネージ・アートディレクション：nanilani
レストラン監修：川手寛康（フロリレージュ）
レストラン設計：甲斐晋介（エスキス）
植栽監修：齊藤太一（Solso）

アクセス

群馬県前橋市本町2-2-15
JR 両毛線前橋駅より徒歩で約15 分／タクシーで約5 分
電車/新幹線
東京-高崎：JR 上越・北陸新幹線で約50 分
高崎-前橋：JR 両毛線で約15 分
自動車
関越自動車道「前橋IC」から約15 分

■客室情報

客室：10 タイプ、25 室。グループの宿泊ゲストのために、コネクティングルームもご用意。
スペシャルルーム x４
ジュニアスイートルーム
エグゼクティブルーム
ヘリテージタワーデラックスルーム
ヘリテージタワースーペリアルーム
グリーンタワーデラックスルーム
グリーンタワースーペリアルーム
客室料金：30,000 円～（消費税・サービス税別）
客室面積：25 ㎡～

■the RESTAURANT

場所：白井屋ホテルヘリテージタワー１階
メニュー：おまかせコース8 品 12,000 円（税・サービス料10％別）～
ドリンクペアリング 7,000 円（税サービス料10％別）
ノンアルコールペアリングもご用意。
予約番号：027-231-2020
営業時間：年中無休 17:30-23:00 (20:30 ラストオーダー)
店舗面積：75.22 ㎡